肩こり・首こり 専門外来
肩こり・首こり(頚肩腕症候群)とは?
肩こり・首こりは、多くの方が経験する症状で、肩や首の筋肉が緊張し、血流が悪くなることで、重だるさや痛みを感じる状態です。肩こりの主な原因となる筋肉は、肩から首、背中にかけて位置する筋肉群です(下図)。肩こりはこれらの筋肉が単独で影響するだけでなく、互いに連動して緊張を引き起こします。主な原因として、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、悪い姿勢などが挙げられます。現代の生活習慣に密接に関係しているため、適切なケアが重要です。
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頚肩腕症候群とは?
頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)は、首(頚部)から肩、腕にかけての痛み、しびれ、筋力低下などを引き起こす症状の総称です。原因は、長時間の不自然な姿勢、筋肉の過緊張、頚椎の病変、さらにはストレスも関係しています。この症状は肩こりと似ていますが、より広範囲かつ深刻な症状を伴うことが特徴です。
肩こり・首こり(頚肩腕症候群)と頚椎症の鑑別は難しく、正確な診断にはレントゲンやMRI(場合によってはCT)などの画像検査が必要です。これらの検査は整体院、接骨院、鍼灸院では行えません。そのため、誤った診断のもとで治療が行われているケースも少なくありません。なお、整体院や接骨院で肩こり・首こりに対して健康保険を使用することはできません。鍼灸院で健康保険を利用する場合は、医師の同意書(紹介状)が必要です。
もし症状が続く場合や改善しない場合は、必ず医療機関で適切な画像検査を受けてください。正しい診断が治療の第一歩です。
画像診断が必要になるケース
- 慢性の肩こり・首こり
- 神経症状がある(しびれ、筋力低下など)
- 肩や首に痛みを伴う可動域制限がある
- 外傷後の肩こり・首こり
- 腫瘍や感染が疑われる場合
肩こり(首こり)ラボとは?
肩こり・首こりは、単に筋肉をほぐせば良くなる症状ではありません。
関節の動きの制限(拘縮)、筋膜や軟部組織の癒着、姿勢や動作のクセ、
場合によっては神経や血流の問題が複合的に関与しています。
肩こりラボは、
これらを医師の診断と画像評価(レントゲン・エコー・MRI等)をもとに整理し、
必要な治療を組み合わせて行うための診療枠です。
まず、医師が診察と画像検査により、
頚椎症や神経障害などの除外診断を行います。
そのうえで、必要に応じて
-
神経ブロック注射
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ハイドロリリース(筋膜リリース注射)
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関節拘縮に対する評価や処置(拘縮解除・癒着剥離 等)
を行い、症状の土台となる問題を整えます。
さらに、処置や注射をゴールとせず、
可動域の変化や痛みの原因を踏まえた運動療法・姿勢指導・再発予防へとつなげることを重視しています。
【重要】肩こり・首こりと「肩関節の炎症・拘縮」は別の病態です
肩こり・首こりと、いわゆる**四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)**は、
症状が似ていても、病態も治療の考え方も異なります。
肩こり・首こり
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筋緊張や姿勢、動作のクセが主な要因
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明らかな関節破壊や高度な炎症を伴わないことが多い
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注射・運動療法・生活指導の組み合わせで改善を目指す
→ 当院では「肩こり(首こり)ラボ」として対応します。
肩関節の炎症・拘縮(四十肩・五十肩など)
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肩関節自体の炎症や、進行すると明らかな可動域制限(拘縮)を伴う病態
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痛みの強さよりも「関節が動かなくなること」が問題になります
-
段階的な評価と、継続的な治療・リハビリテーションが重要です
これらを、一般的な肩こりと同じ枠組みで扱うことはできません。
サイレント・マニピュレーションについて(当院の考え方)
サイレント・マニピュレーションは、→特殊治療:サイレント・マニピュレーションについて
高度な肩関節拘縮に対して行われる、麻酔下で関節可動域を改善する治療法です。
当院でも過去には適応を慎重に判断したうえで実施していた時期がありますが、
現在は以下の点を踏まえ、原則として第一選択にはしていません。
-
治療内容やリスクについて、十分な理解と同意が必要であること
-
術後リハビリテーションの継続が治療成績に大きく影響すること
-
合併症やトラブルのリスクを完全にゼロにはできないこと
これらを総合的に考慮し、
現在は、より低侵襲で段階的な治療を優先する方針としています。
※症状や経過によっては、他の医療機関での治療選択肢として
サイレント・マニピュレーションが検討される場合もあります。
※当院で現在ご案内している治療とは、目的・方法・侵襲性が異なります。
当院で行う「肩関節 癒着剥離(パッシブ・リリース)」について
当院で行う**肩関節 癒着剥離(パッシブ・リリース)**は、一定期間にわたり運動療法を継続して行い、
日常動作や生活上の注意点についても調整・指導を行ったうえで、
肩の痛みはコントロールされているものの、可動域制限が残っている場合を対象とした治療です。
一回で治す治療ではなく、強い力で無理に動かす治療でもありません。
治療内容や経過について十分に説明したうえで、
患者さんの理解と協力を前提に進める、調整的な治療という位置づけです。
当院での治療アプローチ
1. リハビリテーション
当院では、症状の改善と再発予防を目指したリハビリテーションを提供しています。
- ストレッチ・運動療法: 筋肉や関節の柔軟性を高め、血流を促進します。
- 姿勢指導: 長時間のデスクワークや日常生活での姿勢改善をサポートします。
- セルフケアの提案: ご自宅で行える簡単なエクササイズや日常の工夫をアドバイスします。
リハビリテーションは運動力学を考慮して行います。一方で、整体による揉みほぐしや牽引は、治療効果が限定的であることが多いでしょう。→不良姿勢が原因の場合、いくら揉んでも良くはなりません。
また、しびれや筋力低下といった神経症状がある方に対しては、矯正のような乱暴な施術は禁忌です。特に頚部は腰部と比べて神経が狭い空間に密集しており、不適切な操作によってヘルニアなど重篤な症状を引き起こすリスクがあります。安全で適切な治療を選ぶことが重要です。
2. 神経ブロック療法
神経ブロック療法は、痛みの原因となる神経(周囲)に直接アプローチし、症状を緩和する治療法です。局所麻酔薬を注射することで、神経の働きを一時的に抑制し、「痛みの悪循環」を断ち切ります。また、少量のステロイドを超音波エコーでガイドしながら、正確に神経の周囲や傷害部位に届けることで、高い治療効果が期待できます。この方法では、内服薬で大量のステロイドを使用する必要がなく、副作用のリスクを大幅に軽減できます。さらに、エコーを用いることで注射部位を精密に特定し、血管など周囲組織への侵襲を最小限に抑えるため、安全性が高い治療法とされています。
- 効果: 痛みの軽減が期待でき、即効性があります。
- 適応: 症状が強く、日常生活に支障をきたしている場合に有効です。
3. ハイドロリリース自費診療(自由診療)
ハイドロリリースは、筋膜の癒着や緊張を解消するための注射治療で、特に慢性的な肩こり・首こりや筋膜性疼痛に効果的です。※エコーで筋膜は可視化できます。
『肩こり・首こり』(頚肩腕症候群)と当院のレントゲン、エコーなどの画像検査で診断にいたれば、『肩こり・首こり』のハイドロリリース注射は自費(自由診療)で可能です。 重症例は神経ブロック、運動器リハビリテーションを合わせた保険診療が効果的です。
- 治療内容: 生理食塩水や(低濃度)局所麻酔薬を使用し、癒着した組織を分離します。
- 対象症状: 慢性的な肩こり・首こり、頚肩腕症候群、筋膜性疼痛症候群など。
- 費用: 当院ではハイドロリリースは自費診療(自由診療)として提供しています。料金については11000円(税込み)になります。
- メリット: 即効性があり、副作用が少なく、安心して受けられます。
4.動注療法(自由診療)
重症の肩こり・首こりには、動注療法(自由診療)も適応があります。
腕神経叢、斜角筋を横切る頸横動脈(下図:カラー部)から、「もやもや血管」を治療する動注療法を施行します。
治療と予防の考え方(当院の基本方針)
当院では、肩こり・首こりに対して
その場しのぎの対処ではなく、段階的な治療を行います。
治療の流れ(目安)
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まずは診察・画像評価を行い、原因を整理します
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必要に応じて、注射治療(神経ブロック・ハイドロリリース等)で痛みや癒着を改善します
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症状や可動域の変化を踏まえ、運動療法・動作指導につなげます
※すべての方に同じ治療を行うわけではありません。
※状態によっては、保険診療のみで十分改善する場合もあります。
再発を防ぐために
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長時間の同一姿勢を避ける
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日常生活の動作や姿勢を見直す
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無理のない範囲で運動・セルフケアを継続する
当院では、症状だけでなく
**「なぜ繰り返すのか」「どこまで医療で関わるのか」**を明確にしたうえで、
一人ひとりに合った治療方針をご提案します。
保険診療と自費診療について
Q. すべて自費になりますか?
A. いいえ。まずは保険診療で診断を行い、必要な場合にのみ自費診療をご案内します。
Q. いきなり自費を勧められることはありますか?
A. ありません。画像所見や症状をもとに、医師が適応を判断します。
Q. 保険診療だけで良くなることもありますか?
A. はい。多くの方は、保険診療(リハビリ・注射等)で改善します。
料金について(目安)
■ 肩こりラボ
料金:12,000円(税込)
内容:注射治療+理学療法士による運動療法
※完全予約制
※保険診療での診断後に実施します。
■ 肩関節 癒着剥離(パッシブ・リリース)
料金:25,000円(税込)
内容:癒着剥離処置+処置後の運動療法(30分)
※同日実施・完全予約制
※症状・所見により適応を判断します。
※重症例に対して行われるサイレント・マニピュレーションとは異なります。
※状態により、保険診療のみで対応可能な場合もあります。
肩こりについてのよくあるご質問(Q&A)
Q1. 肩こりは病院で診てもらえますか?
A. はい、肩こりは整形外科で診察・治療が可能です。特に、慢性的な肩こりや頭痛、手のしびれを伴う場合は、筋肉だけでなく神経や骨の異常が原因となっていることがあります。当院では、必要に応じてレントゲン、超音波検査、MRI等を行い、原因を詳しく調べます。
Q2. 肩こりは、整体などのマッサージで治りますか?
A. 一時的に楽になることはありますが、根本的な改善には筋力や姿勢のバランスを整えることが重要です。医療機関では、単なる“揉みほぐし”ではなく、原因に応じてリハビリテーションやブロック注射、生活習慣の見直しをご提案します。
Q3. デスクワークで肩こりが悪化します。何か対策はありますか?
A. 長時間の同一姿勢は肩こりの大きな要因です。定期的なストレッチや、正しい椅子・モニターの高さ設定が有効です。当院では、簡単にできるセルフストレッチや姿勢指導も行っています。
Q4. 肩こりで頭痛やめまいが出るのはなぜですか?
A. 肩や首の筋肉の緊張が神経や血流に影響することで、頭痛・めまいなど「自律神経症状」を引き起こすことがあります。頸椎症や筋緊張性頭痛が隠れている場合もあるため、医師による診断をおすすめします。

