膝のリハビリテーション:自主トレーニング(上級)
変形性膝関節症の自主訓練について、初級、中級、上級と段階別に分けて説明しています。
こちらは上級の頁になります。
(注意)
リハビリテーションの自主訓練は、痛みの軽減や関節の可動域を維持・改善するために非常に重要です。ただし、痛みが強い場合は無理をせず、医師や理学療法士と相談しながら進めてください。
上級では、日常生活での動作をスムーズに行えるように、(中級で説明した)大腿四頭筋やハムストリングスの筋力増強訓練、さらにはバランス能力を改善することを目的とした自主訓練を紹介します。
なぜバランス訓練が必要なのか?
膝の変形(変形性膝関節症)が進むと、関節がぐらぐらしやすくなったり、痛みのせいで筋肉がうまく働かなくなったりします。
このため、立ったり歩いたりする時にバランスを崩しやすくなります。
バランス訓練を行うことで、
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膝や体を支える筋肉がしっかり働くようになる
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転びにくくなる
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足の力の入り方が整う
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動くことへの自信がつく
といった効果が期待できます。
バランスをよくすることで、痛みの悪化や変形の進行を防ぐことにもつながります。
ブリッジ(ヒップリフト)
目的:ハムストリングスの筋力増強
1. べッドや床に仰向けで寝て、両膝を立てます。(足幅は腰幅程度)
2. お尻と太ももの裏側の筋肉を意識して、ゆっくりとお尻を持ち上げます。肩から膝まで一直線になるイメージで行います。
3. 2-3秒キープして、ゆっくり下ろします。
10回を1セットとし、1日2-3セット行います。
ハーフスクワット
目的:大腿四頭筋、ハムストリングスの筋力増強
1. 足を肩幅程度に開いて立ちます。
2. 胸を張り背筋を伸ばしたまま、お尻を後ろに引くように膝を軽く曲げます。(深く曲げすぎない30-45°程度)
3. 2-3秒キープしゆっくりと元に戻します。
5-10回を1セットとし、1日1-2セット行います。必要に応じて机や手すりを持って行います。
ランジ
目的:大腿四頭筋、ハムストリングスの筋力増強
1. 足を前後に開いて立ち、両手は腰に当てるかバランスがとりやすい位置に構えます。
2. 背筋を伸ばしたまま、前足の膝をゆっくり曲げて重心を落とします。後ろ足の膝が床につかない程度まで下ろします。前足の膝が、つま先より前に出すぎないように注意します。
3. ゆっくりと元の姿勢に戻します。
片足 5 ~ 10 回程度を 1 セットとし、左右行います。1 日1-2セット行います。
ハーフスクワットとランジのどちらを選べばいいの?
状況 | おすすめの運動 |
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膝に痛みがある | ハーフスクワット |
初めて運動をする方 | ハーフスクワット |
体力に自信がある方 | ランジ |
バランス力も鍛えたい | ランジ |
ハーフスクワットから始めていくことをお勧めします。
正しいフォームを守ることで、効果も高まりケガの予防になります。実際のリハビリテーションの際に、チェックしてもらいましょう。
片足立ちバランス(安定性トレーニング)
目的:立ったときのバランスの改善
1. 壁や手すりの近くに立ちます。(転倒防止のため支えがあると安心)
2. 両足で立ち、ゆっくりと片足を上げます。
3. 片足で 1 0 秒~ 30 秒程度バランスを取ります。反対の足も同様に行います。
左右5回を1セットとして、1日1-2セット行います。慣れてきたら、壁や手すりのサポートを軽くし、できれば手を離して行います。
膝に負担がかかったり、筋力が弱くなったりすると、立っているときにふらつきやすくなります。
バランスが悪いと、転びやすくなったり、膝にさらに負担がかかってしまいます。
バランスをよくすることで、
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立っている時に安定する
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歩くのが楽になる
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転びにくくなる
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膝への負担を減らせる
といった良い効果があります。
簡単なトレーニングでも、毎日続けることが大切です!