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特殊治療 その2 : 硬膜外癒着剥離術(Raczカテーテル)

硬膜外癒着剥離術とは、硬膜外腔※1(こうまくがいくう)というスペース(仮想空間)に専用のRaczカテーテルを挿入させて、癒着※2(ゆちゃく)を剥がし、炎症を洗い流す治療方法です。硬膜外腔※1は、神経の周りにある硬膜という神経を保護する膜と脊椎との間にあるスペースのことを言います。脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎の手術などによって硬膜周辺に炎症が生じ、炎症が治癒していく過程で硬膜外腔に癒着※2が起こります。傷が治るときにかさぶたができるようなイメージです。硬膜外腔に癒着が起こると、腰や足の痛みが生じることがあります。そのような場合に、専用のRaczカテーテルを使って硬膜周辺にある癒着をはがし、神経のひっかかりをとって「滑走性」をあげること(→動きをよくすること)により、腰や足の神経症状の緩和することを目的としています。

当院では、「日帰りで手術」で行っております。

 

Raczカテーテルの適応症

Raczカテーテルは、腰椎やその周りの神経に関連する慢性の疼痛に対して効果的です。具体的な状態として、以下のようなものがあります。

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰部脊髄手術の術後

 

Raczカテーテルの主なステップ

  1. 局所麻酔: 仙骨裂孔(殿部)に麻酔をしてから専用の針を刺します。

  2. カテーテル挿入: カテーテルを特定の位置に挿入し、脊髄神経の近くに持っていきます。リアルタイムのX線画像ガイダンスの下で、カテーテル挿入のための正確な位置を特定します。

  3. 薬物投与: カテーテル操作で、神経周囲の癒着した部位(炎症などでくっついた部位)を拡げます。疼痛を和らげるための薬物(しばしばステロイドや麻酔薬)を使用します。これにより、神経の炎症や痛みが軽減されます。

  4. 評価と調整、造影剤の使用: カテーテルが正しい位置に配置されたら、造影剤にて「神経が通過する狭い部位」を確認します。必要に応じて薬物の種類や量を調節します。

  5. カテーテルの取り外し: 治療が終了すると、カテーテルは慎重に取り外されます。

 

Raczカテーテルの利点

  • 薬物を神経に直接送達できるため、効果が速く、疼痛を迅速に軽減できます。
  • 長期間の疼痛管理に役立つことがあります。→単回の神経ブロックより効果が持続することが多いです。
  • 手術(全身麻酔や手術体位など含め)に比較して、リスクが低い場合があります。

 

注意点と制限事項

  • Raczカテーテルはあくまで痛みの軽減を目的とした一時的な治療であり、根本的な疾患の治療ではありません。
  • 症状が完全には解消しないことがあります。

 

説明動画のリンク



 

『Raczカテーテルの挿入時の動画』

https://youtube.com/shorts/mhtMuIh68es?si=DQXrgLoWhLYM3e7Y

 

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