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リハビリテーションの自主トレーニングメニュー 腰 その2(曲げると痛い)

[2024.09.06]

今回は、腰痛のリハビリテーション 自主トレーニング その2 です。

腰痛には腰を曲げた時に痛みがでるタイプと、腰を反った時に痛みがでるタイプがあり、今回は「前者」に対する自主トレーニング方法をお伝えします。

現代人は座り仕事が多く、長時間座っていると前かがみの姿勢になりやすく、この状態が続くと腰の筋肉に過度なストレスがかかります。

また、腰の隣接関節である股関節の柔軟性が低下すると(←長時間座っているとなりやすい)、腰の動きが過剰となり、腰の筋肉に過度なストレスがかかることで痛みを引き起こします。

 

このように長時間座っている場合でも、適切な姿勢の維持や定期的な股関節のストレッチ、体幹深部筋力・股関節筋力向上運動を行うことで、腰への負担を軽減できます。

以下に、いくつかの自主トレーニングを紹介します。

 

実施前に注意すべきを3つポイントをあげます。

1 自主トレーニングは、実際に理学療法士とリハビリテーションをやっていく中で、動作を確認することをお勧めします。

2  反動をつけてやらないでください。

3  動作で痛みが出る場合は、やめてください。 

 

ハムストリングス ストレッチ

ハムストリングスは、骨盤から下腿(膝下の部分)にかけて伸びる筋肉で、骨盤の安定性と股関節、膝関節の動きに重要な役割を果たしています。

下図の半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋長頭・短頭を合わせてハムストリングスと言います。

プロメテウス解剖学アトラスより引用


ハムストリングス(大腿裏の筋肉)をストレッチすると腰痛の予防に効果があるのは、以下の理由によります。

1. 骨盤の位置を整える

ハムストリングスが硬くなると、骨盤を後傾(後ろに傾ける)させる力が強くなり、骨盤の正しい位置が崩れやすくなります。骨盤が後傾すると、腰椎(腰の背骨)の自然なカーブが平らになり、腰への負担が増加します。ハムストリングスをストレッチすることで、骨盤の前後の動きがスムーズになり、正しい骨盤の位置が保たれるため、腰椎にかかるストレスが軽減され、腰痛の予防に役立ちます。

 

 

2. 柔軟性の向上による負担軽減

ハムストリングスが硬いと、腰を動かす際に柔軟性が不足し、腰の筋肉や関節が代わりに負担を受けることが多くなります。特に、立ったり座ったり、前屈する動作などで、腰部に余計な緊張がかかりやすくなります。ハムストリングスの柔軟性を向上させることで、体全体の動きがスムーズになり、腰椎にかかる負担が減少します。

3. 姿勢の改善

ハムストリングスが硬いと、腰や骨盤、下半身のバランスが崩れ、姿勢が悪くなりがちです。悪い姿勢が続くと、腰部にかかる負荷が増加し、腰痛の原因となります。ハムストリングスをストレッチすることで、姿勢が改善し、腰にかかる負荷を軽減することができ、結果的に腰痛の予防につながります。

4. 動きの連動性の向上

ハムストリングスの柔軟性が高まると、股関節の動きが良くなり、腰や背骨に頼ることなく下半身の動きがスムーズになります。これにより、日常的な動作で腰部にかかるストレスが軽減され、腰痛のリスクが減少します。

まとめ

ハムストリングスをストレッチすることで、骨盤と腰椎のアライメントを改善し、姿勢や動作をスムーズに保つことができるため、腰痛の予防に効果的です。柔軟性を高めることで、腰にかかる負担を減らし、腰痛の発生を防ぐ助けとなります。

 

 

ストレッチ方法(右ハムストリングスストレッチ)

①仰向けの姿勢からスタート

②写真の姿勢をとる

 ・足の裏にタオルを引っかけて、ゆっくりと膝を伸ばす

 ・20~30秒程度じっくり伸ばす


こちらは、スタンダードな方法です。(立ちながらやる方法は、ご存知の通りラジオ体操にも組み込まれていますよね)

 

 

 

大臀筋ストレッチ

大臀筋は、骨盤の後ろ側から大腿骨の上部にかけて伸びる筋肉で、骨盤の安定性と骨盤、股関節の動きに重要な役割を果たしています。

プロメテウス解剖学アトラスより引用


大臀筋が硬くなると(長時間の座位が原因)、骨盤と股関節の動きが制限され、腰の骨の並び(:腰椎のアライメント)が崩れてしまいます。

具体的には:

  1. 骨盤の後傾:大殿筋が緊張すると、骨盤が後ろに傾く(後傾)ことがあります。骨盤が後傾すると、腰椎の自然な前弯(腰椎のカーブ)が減少し、フラットバック(平背)になることがあります。

  2. 腰椎の過度な伸展の抑制:大殿筋が硬くなると、骨盤と腰椎の動きが制限され、腰椎の過度な伸展が抑制される場合があります。これにより、腰部にストレスがかかり、姿勢に悪影響を及ぼすことがあります。

  3. 腰痛の原因:大殿筋の緊張が持続すると、腰部に負担がかかり、腰痛の原因となることがあります。また、腰椎のアライメントが崩れると、他の筋肉や関節にも影響が広がりやすいです。

従って、大殿筋の柔軟性を保つことは、腰椎の正しいアライメントを維持し、腰痛を予防するために非常に重要になります。

以下2つののストレッチ方法を是非試してみてください。

ストレッチ方法(右大臀筋ストレッチ)

①仰向けの姿勢からスタート

②写真の姿勢をとる 足を組む

・太もも裏側を両手で抱え、上半身に引き寄せる

・20~30秒程度じっくり伸ばす

 

こちらは、座ってできる大臀筋のストレッチになります。

(骨盤、股関節の動きを改善するストレッチが座ってできます。)

 

ストレッチ方法(右大臀筋ストレッチ)

①座った姿勢からスタート

②写真の姿勢をとり、足を組みます。

・お腹を太ももに近づけるように上半身を前側に倒す

・20~30秒程度じっくり伸ばす

 

前述の通り、大臀筋は骨盤の後ろ側から大腿骨の上部にかけて伸びる筋肉で、骨盤の安定性と骨盤、股関節の動きに重要な役割を果たしています。
繰り返しになりますが、大臀筋の筋力が低下すると、骨盤が不安定になり、腰椎に負担がかかることで、腰痛を引き起こすことがあります。
大臀筋の「筋力強化」を行うことで、骨盤の安定性が向上し、腰部の筋肉への過度な負担が軽減され、腰痛の予防や軽減につながります。

 


エクササイズ方法(大臀筋筋力強化)

①仰向けで両膝曲げた姿勢からスタート

②写真の姿勢をとる

 ・ゆっくりとお尻を持ち上げていき、膝からお腹が一直線になるまで上げる

 ・回数は疲れ過ぎない程度繰り返す

 

 

 


インナーマッスルの強化

腰痛の予防には、体幹の安定性を向上させ、腰椎アライメントを整えることが、非常に大事になります。

特に、体幹の安定性に関わる「インナーマッスル」を鍛えることが大切です。

インナーマッスルは、体幹を支える内側の筋肉であり、背骨の安定性を高め、腰部にかかる負担を軽減します。

体幹のインナーマッスル(深層筋)として、「腰部」多裂筋と腹横筋が代表としてあげられ、それぞれ特定の役割を果たしています。

 


プロメテウス解剖学アトラスより引用

 

1. 「腰部」多裂筋(たれつきん)

多裂筋は、背骨の一つ一つをつなぎ、深部で背骨を支える小さな筋肉群です。この筋肉が働くことで、背骨の一つ一つの関節の安定性が向上し、体を前後左右に動かす際や、ねじる動作で背骨がしっかり支えられます。多裂筋は特に、微細な動きや姿勢の維持に関与しています。

  • 体幹の安定: 多裂筋は、背骨の各セグメントを安定させるため、姿勢を維持しやすくし、無理な動きや急な動作での背骨への負荷を軽減します。
  • 腰痛の軽減: 多裂筋が強化されると、背骨周りの不安定性が減少し、椎間板や腰部にかかる過剰なストレスが軽減されます。これにより、腰痛が起こりにくくなります。

2. 腹横筋(ふくおうきん)

腹横筋は、腹部の一番深層にある筋肉で、コルセットのように体幹をぐるりと囲む形で働いています。腹横筋は腹圧を高め、内臓や背骨を支え、体幹全体を安定させる役割があります。

  • 体幹の安定: 腹横筋がしっかり働くことで、腹圧が高まり、背骨を内側からサポートします。これにより、骨盤や背骨のアライメントが正しく保たれ、体幹全体が安定します。
  • 腰痛の軽減: 腹横筋が弱いと、腰部の安定性が低下し、背骨や腰椎に過剰な負担がかかりやすくなります。腹横筋を鍛えることで、腹圧が向上し、腰椎がしっかりと支えられるため、腰痛の発生を防ぎます。

3. 「腰部」多裂筋と腹横筋の連携

多裂筋と腹横筋は、連携して体幹の安定性を保つ重要な役割を果たしています。腹横筋が腹圧を高めることで、内部から背骨を支え、同時に多裂筋が各背骨のセグメントを安定させることで、二重のサポートが得られます。この連携により、動作時や静止時において、腰部への負荷が減少し、腰痛の予防や軽減に効果的です。

4. 腰痛を軽減する理由

これらの筋肉を適切に強化することで、背骨の過度な動きが抑えられ、腰椎にかかるストレスが軽減されます。また、体幹が安定することで、動作や姿勢の中で余計な筋肉の緊張や誤った動きが減少し、腰痛を防ぐことができます。

まとめると、多裂筋と腹横筋は、体幹の安定を保ち、腰椎をサポートすることで腰痛の軽減に大きく寄与します


以下、腰部多裂筋と腹横筋を強化する代表的なトレーニングメニューを紹介します。
リハビリテーションのトレーニングメニューとしては、とても有名であり効果も実証されています。

 

エクササイズ方法

①四つ這い姿勢からスタート

②写真の姿勢をとる

・手から足まで一直線になるようにして、身体がブレないようにキープする →背骨が曲がってしまうと、ケガの原因になりますので注意してください!

・回数は疲れ過ぎない程度繰り返す

 

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