リハビリテーションの自主トレーニングメニュー 腰 その2(曲げると痛い)
今回は、腰痛のリハビリテーション 自主トレーニング その2 です。
腰痛には腰を曲げた時に痛みがでるタイプと、腰を反った時に痛みがでるタイプがあり、今回は「前者」に対する自主トレーニング方法をお伝えします。
現代人は座り仕事が多く、長時間座っていると前かがみの姿勢になりやすく、この状態が続くと腰の筋肉に過度なストレスがかかります。
また、腰の隣接関節である股関節の柔軟性が低下すると(←長時間座っているとなりやすい)、腰の動きが過剰となり、腰の筋肉に過度なストレスがかかることで痛みを引き起こします。
このように長時間座っている場合でも、適切な姿勢の維持や定期的な股関節のストレッチ、体幹深部筋力・股関節筋力向上運動を行うことで、腰への負担を軽減できます。
以下に、いくつかの自主トレーニングを紹介します。
実施前に注意すべきを3つポイントをあげます。
1 自主トレーニングは、実際に理学療法士とリハビリテーションをやっていく中で、動作を確認することをお勧めします。
2 反動をつけてやらないでください。
3 動作で痛みが出る場合は、やめてください。
ハムストリングス ストレッチ
ハムストリングスは、骨盤から下腿(膝下の部分)にかけて伸びる筋肉で、骨盤の安定性と股関節、膝関節の動きに重要な役割を果たしています。
下図の半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋長頭・短頭を合わせてハムストリングスと言います。
プロメテウス解剖学アトラスより引用
ハムストリングス(大腿裏の筋肉)をストレッチすると腰痛の予防に効果があるのは、以下の理由によります。
1. 骨盤の位置を整える
ハムストリングスが硬くなると、骨盤を後傾(後ろに傾ける)させる力が強くなり、骨盤の正しい位置が崩れやすくなります。骨盤が後傾すると、腰椎(腰の背骨)の自然なカーブが平らになり、腰への負担が増加します。ハムストリングスをストレッチすることで、骨盤の前後の動きがスムーズになり、正しい骨盤の位置が保たれるため、腰椎にかかるストレスが軽減され、腰痛の予防に役立ちます。
2. 柔軟性の向上による負担軽減
ハムストリングスが硬いと、腰を動かす際に柔軟性が不足し、腰の筋肉や関節が代わりに負担を受けることが多くなります。特に、立ったり座ったり、前屈する動作などで、腰部に余計な緊張がかかりやすくなります。ハムストリングスの柔軟性を向上させることで、体全体の動きがスムーズになり、腰椎にかかる負担が減少します。
3. 姿勢の改善
ハムストリングスが硬いと、腰や骨盤、下半身のバランスが崩れ、姿勢が悪くなりがちです。悪い姿勢が続くと、腰部にかかる負荷が増加し、腰痛の原因となります。ハムストリングスをストレッチすることで、姿勢が改善し、腰にかかる負荷を軽減することができ、結果的に腰痛の予防につながります。
4. 動きの連動性の向上
ハムストリングスの柔軟性が高まると、股関節の動きが良くなり、腰や背骨に頼ることなく下半身の動きがスムーズになります。これにより、日常的な動作で腰部にかかるストレスが軽減され、腰痛のリスクが減少します。
まとめ
ハムストリングスをストレッチすることで、骨盤と腰椎のアライメントを改善し、姿勢や動作をスムーズに保つことができるため、腰痛の予防に効果的です。柔軟性を高めることで、腰にかかる負担を減らし、腰痛の発生を防ぐ助けとなります。
ストレッチ方法(右ハムストリングスストレッチ)
①仰向けの姿勢からスタート
②写真の姿勢をとる
・足の裏にタオルを引っかけて、ゆっくりと膝を伸ばす
・20~30秒程度じっくり伸ばす
こちらは、スタンダードな方法です。(立ちながらやる方法は、ご存知の通りラジオ体操にも組み込まれていますよね)
大臀筋ストレッチ
大臀筋は、骨盤の後ろ側から大腿骨の上部にかけて伸びる筋肉で、骨盤の安定性と骨盤、股関節の動きに重要な役割を果たしています。
プロメテウス解剖学アトラスより引用
大臀筋が硬くなると(長時間の座位が原因)、骨盤と股関節の動きが制限され、腰の骨の並び(:腰椎のアライメント)が崩れてしまいます。
ストレッチ方法(右大臀筋ストレッチ)
①仰向けの姿勢からスタート
②写真の姿勢をとる 足を組む
・太もも裏側を両手で抱え、上半身に引き寄せる
・20~30秒程度じっくり伸ばす
こちらは、座ってできる大臀筋のストレッチになります。
(骨盤、股関節の動きを改善するストレッチが座ってできます。)
ストレッチ方法(右大臀筋ストレッチ)
①座った姿勢からスタート
②写真の姿勢をとり、足を組みます。
・お腹を太ももに近づけるように上半身を前側に倒す
・20~30秒程度じっくり伸ばす
前述の通り、大臀筋は骨盤の後ろ側から大腿骨の上部にかけて伸びる筋肉で、骨盤の安定性と骨盤、股関節の動きに重要な役割を果たしています。
繰り返しになりますが、大臀筋の筋力が低下すると、骨盤が不安定になり、腰椎に負担がかかることで、腰痛を引き起こすことがあります。
大臀筋の「筋力強化」を行うことで、骨盤の安定性が向上し、腰部の筋肉への過度な負担が軽減され、腰痛の予防や軽減につながります。
エクササイズ方法(大臀筋筋力強化)
①仰向けで両膝曲げた姿勢からスタート
②写真の姿勢をとる
・ゆっくりとお尻を持ち上げていき、膝からお腹が一直線になるまで上げる
・回数は疲れ過ぎない程度繰り返す
インナーマッスルの強化
腰痛の予防には、体幹の安定性を向上させ、腰椎アライメントを整えることが、非常に大事になります。
特に、体幹の安定性に関わる「インナーマッスル」を鍛えることが大切です。
インナーマッスルは、体幹を支える内側の筋肉であり、背骨の安定性を高め、腰部にかかる負担を軽減します。
体幹のインナーマッスル(深層筋)として、「腰部」多裂筋と腹横筋が代表としてあげられ、それぞれ特定の役割を果たしています。
プロメテウス解剖学アトラスより引用
エクササイズ方法
①四つ這い姿勢からスタート
②写真の姿勢をとる
・手から足まで一直線になるようにして、身体がブレないようにキープする →背骨が曲がってしまうと、ケガの原因になりますので注意してください!
・回数は疲れ過ぎない程度繰り返す