膝のリハビリテーション:自主トレーニング(中級)
変形性膝関節症の自主訓練について、初級、中級、上級と段階別に分けて説明していきます。
こちらは中級の頁になります。
(注意)
リハビリテーションの自主訓練は、痛みの軽減や関節の可動域を維持・改善するために非常に重要ですが、痛みが強い場合は無理をせず、医師や理学療法士と相談しながら進めてください。
中級では、膝関節の伸展と屈曲に重要な役割を持つ、大腿四頭筋とハムストリングスについて紹介していきいます。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は、太ももの前面に位置する人体で最も体積の大きい筋肉であり、膝関節を伸ばすという重要な役割を担っています 。
赤矢印 :大腿四頭筋の収縮方向 黄色矢印:脛骨の移動方向
大腿四頭筋の筋力が低下し、膝が伸びない(伸ばしきれない)状態では、歩行時など荷重時に重心が膝の後方(下図青矢印)を通るため、「膝前方への負荷」が増えて痛みが生じてしまうことがあります。このように膝が伸びない状態では、体重によって膝を曲げる力が働きガクッと崩れてしまうことがあります。膝が完全に伸びないと、歩くたびに膝が曲がったままになってしまい、歩幅が狭くなったり、足を引きずるような歩き方になってしまい歩行が不安定になります。
ハムストリングス
ハムストリングスは、太もも後面に位置する筋肉(上図:後面)です。
この筋肉は、膝を曲げる働きをするため「膝屈筋」とも呼ばれます。
一方、太ももの前側にある大腿四頭筋は、膝を伸ばす働きをする「膝伸筋」です。
この2つの筋肉は、ちょうどシーソーのように反対の動きをする「拮抗的な関係」にあります。
大腿四頭筋が膝を伸ばすとき、すねの骨(脛骨)は前に引っ張られる力がかかります(下図:黄色矢印)。
そのとき、ハムストリングスは、すねの骨が前に行きすぎないように引き止める働きをします(下図:赤矢印)。
このように、ハムストリングスは膝を安定させるブレーキのような役割を果たしています。
大腿四頭筋とハムストリングスのバランスのとれた働きは、膝を守るうえでとても大切です。
たとえば、ジャンプして踏み切るときや、サッカーでボールを強く蹴るとき、大腿四頭筋が力強く収縮して膝を伸ばします。
このとき、もしハムストリングスの力が弱かったり、バランスが悪かったりすると、すねの骨(脛骨)が前に引っ張られすぎて、膝関節(特に前方)に大きな負担がかかってしまいます(下図:黄色矢印の力が強くなる)。
このような負担が繰り返されると、膝のケガにつながることもあります。
そのため、ハムストリングスは、大腿四頭筋に対して約60〜80%程度の筋力を保つのが理想的とされています。
参考)ハムストリングの弱くなってしまう原因は?
実際に3つの自主訓練を紹介します。
A.大腿四頭筋の収縮訓練
目的:大腿四頭筋の筋力維持・改善、膝関節伸展制限の改善
1.膝を伸ばした状態で座るまたは仰向けになり、膝の下に丸めたタオルを入れます。
2.太ももの前の筋肉を意識して力を入れ、膝の裏でタオルを押し付けます。
10回1セットとし1日2-3セットを目安に行います。
B.ストレートレッグレイズ(SLR)
目的:足の重みを負荷としての大腿四頭筋の強化
1.ベッドや床に仰向けで寝ます。
2.伸ばした足のつま先を少し上に向け、大腿四頭筋を意識しながら床から無理のない範囲で足を持ち上げ、ゆっくり下ろします。
10回1セットとし1日2-3セットを目安に行います。
C.レッグカール
目的:足の重みを負荷としてのハムストリングスの強化
1.うつ伏せになります。
2.片方の膝を90°までゆっくりと曲げていきます。
3.曲げた膝をゆっくりと降ろします。
10回1セットとし1日2-3セットを目安に行います。

