肩のリハビリテーション:自主トレーニング (上級編)ステップアップ版
肩関節周囲炎(四十肩・五十肩) 自主トレーニング 上級編
これまで初級・中級編で、肩関節の可動域を段階的に広げてきました。
上級編では、日常生活動作をよりスムーズに行うための「協調運動(体幹との連動)」 を中心に行います。
これまで改善してきたポイント
初級・中級では、
この2つの関節運動が改善してきました。
ここから先は、
体幹と肩甲骨・腕が連動して動く“協調性”を高める段階 に入ります。
★ 肩甲骨のタオルストレッチ
肩甲骨まわりの筋肉(僧帽筋・菱形筋)の柔軟性を高め、肩こり・首こり、可動域改善に役立つエクササイズです。
方法
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肩幅よりやや広めにタオルを持ち、両腕を上げます。
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そのままタオルを首の後ろまでゆっくり引き下げます。
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5〜10回を1セットとして、1日2〜3セット行いましょう。
【どんな筋肉に効く?】
● 僧帽筋(そうぼうきん)
デスクワークで硬くなりやすい大きな筋肉で、
肩甲骨を内側へ寄せる働きがあります。
ストレッチによって、以下が期待できます。
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血流が良くなる
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筋肉のこわばりが取れる
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肩こり・首こりの改善
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
【補足】肩甲骨を内側へ引き寄せる動き
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
● 菱形筋(りょうけいきん)
猫背・巻き肩で硬くなりやすい筋肉で、
肩甲骨が内側へ回り込む動き(下方回旋)を担います。
僧帽筋と菱形筋を同時に働かせるタオルストレッチは、
肩甲骨本来のスムーズな動きを取り戻すのに有効です。
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
【補足】肩甲骨が内側へ回り込む動き
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
【効果】
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姿勢改善(猫背・巻き肩の改善)
肩甲骨が正しい位置に戻り、胸が開きやすくなる -
肩の可動域アップ
腕が上げやすくなる/後ろに回しやすくなる
★壁つたい背伸び運動(上腕骨・肩甲骨・体幹の協調運動)
【やり方】
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壁から約10cm離れて立ち、両手の掌を壁につけます。
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壁をつたいながら、腕をゆっくり上げていきます。
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顔を上げ、背すじを伸ばすようにして「背伸び」を意識します。
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肩がすくまないよう注意しながら、できる範囲で上まで上げます。
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5〜10回を1セットとして、1日2〜3セット行いましょう。
壁つたい運動
肩の機能回復で重要な3段階(復習)
肩のリハビリテーションでは、次の順番が最も大切です。
1)腕(肩甲上腕関節)の動き
2)肩甲骨(肩甲胸郭関節)の動き
3)腕・肩甲骨・体幹の協調性
この順番で整えることで、
「腕を上に伸ばす」「後ろに手を回す」などの日常動作がスムーズになります。
① 腕の動きを出し、動きの安定性を高める
壁面を使いながら腕を動かすことで、腕の軌道がぶれにくくなり、正しい動作が自然に身につきます。
このとき、肩腱板筋(インナーマッスル)が自然に働き、
肩関節の安定性(求心性)が高まることが重要なポイントです。
肩腱板筋
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
肩の求心性のイメージ図
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
② 肩甲骨と腕の「連動性」を高める
腕を上げる動作では、「肩甲上腕関節」だけでなく「肩甲骨」も同時に動いています。
壁をつたいながら腕を挙上すると、肩甲骨と腕が一定の割合で動く
肩甲上腕リズムが自然に整い、
引っかかりのない、スムーズな肩の動き を習得できます。
肩甲上腕リズム:上腕骨と肩甲骨が一定の割合で協調して動く関係のこと
Carvalho, Stefane Cajango de, et al. "Snapping scapula syndrome: pictorial essay." Radiologia Brasileira 52 (2019): 262-267.
③ 腕・肩甲骨・体幹の「協調性」を身につける
背すじを伸ばして行うことで、
猫背による肩甲骨の不適切なポジション(外側に逃げている状態)
が改善し、肩甲骨が“背骨方向へ寄る”正しい位置を保ちやすくなります。
これにより、
腕・肩甲骨・体幹が連動する協調運動が身につき、
肩の動きがより安定し、スムーズになります。
肩甲骨・体幹の協調性
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
ヒューマン・アナトミー・アトラスより引用
【結論】
肩のリハビリで最も重要なのは、
①腕の動き → ②肩甲骨の動き → ③体幹との協調性
という順番で整えていくことです。
このプロセスで進めることで、
日常生活のほぼ全ての肩の動作が滑らかになり、
痛みの再発予防にもつながります。

